台風20号は、21日午後6時に四国沖で温帯低気圧に変わりました。しかし、気象庁によると温帯低気圧に変わった後も油断はできなません。温帯低気圧は暖かく湿った空気を運び込むため、西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨になる恐れがあります。
また、マリアナ諸島にあった台風21号は発達しながら北上中で、日本列島に上陸はしなくても勢力が強いことから大雨の心配があります。
元台風20号と勢力の強い21号が日本列島付近で合体するとどのくらいの影響を及ぼすのでしょうか?過去にこのような状況があったのであればその事例を紹介したいと思います!
台風20号と21号合体するとどうなるの?
結論から言うと、台風同士が合体することはありません。
天気図で台風と台風がぶつかっているように見えることがありますが、実際は台風同士が近づくと(およそ1000km以内)、風が互いに作用しあい、2つの台風は複雑な動きをします。
この現象は大正時代、中央気象台(今の気象庁)の藤原咲平によって提唱されたことから、『藤原の効果』と言われています。
藤原の効果は6つのパターンに分類されます。
・相寄り型
弱い方の熱帯低気圧が接近しながら急激に衰弱し、強い方の熱帯低気圧に取り込まれてしまう。
・指向型
片方の熱帯低気圧だけが干渉を受けて、もう片方の熱帯低気圧の回りを運動するように見える。
・追従型
片方の熱帯低気圧がまず移動し、その後ろをもう片方の熱帯低気圧が追いかけていく。
・時間待ち型
東側の熱帯低気圧がまず北上し、その熱帯低気圧が去った後に西側の熱帯低気圧が北上しはじめる。
・同行型
2つの熱帯低気圧が並行して移動する。
・離反型
東側の熱帯低気圧が加速して北東へ移動し、西側の熱帯低気圧が減速しながら西へ移動する。
今回の台風20号は温帯低気圧に変わっています。温帯低気圧に台風が接近した場合はどうなるのでしょうか?
温帯低気圧とはどういうものかを簡単に言うと、
熱い空気で出来た台風に冷たい空気が入ってくること。前線をともなっていることが多く、広い範囲で雨を降らせたり強い風が吹くこともある。
ですので台風20号が台風から温帯低気圧に変わったことで、弱まったどころか台風21号の勢力をよりパワーアップさせる可能性もがあるということです!
W台風の過去の事例
同時に2つの台風が発生することは珍しくはないようで、去年もW台風が発生しました。
2018年 台風19号と20号
一番最近のW台風は2018年8月中旬に発生した、台風19号と、20号です。
こちらは今回と違いどちらの台風も勢力を保ったまま日本に接近。台風19号は奄美地方に接近し、韓国を横断後25日夕方には日本海で、台風20号は四国地方を暴風域に巻き込みながら北上し、24日夕方には秋田県沖で温帯低気圧に変わりました。
暴風と大雨による被害がでました。
避難指示:7府県で約9万3千人
避難勧告:14府県で約94万4千人に出て、17府県で約1万2千人が避難。
負傷者:兵庫県や滋賀県など7府県で13人。
住宅被害:和歌山県や福井県など5府県で床上・床下浸水と一部損壊合わせ12棟。兵庫県西宮市ではマンションの屋根が幅数十メートルにわたってはがれ、落下。
同県淡路市では風力発電用の風車1棟が倒壊。
停電:23日午前7時から24日午前11時までに、近畿2府4県と三重、福井両県でのべ約25万7千戸
1時間雨量は、和歌山県古座川町で120㍉以上、すさみ町で120㍉、大阪府能勢町、神戸市東灘区と灘区、兵庫県西宮、芦屋、宝塚、川西の各市で110㍉を観測しました。
和歌山県新宮市熊野川町熊野川では水があふれ、広範囲で浸水しました。
最大瞬間風速は和歌山県の友ケ島で52.3㍍、高知県の室戸岬で45.2㍍を観測しました。
〈参照:ウェザーニュース〉
2004年 台風18号
W台風ではないのですが、台風から温帯低気圧になって被害が大きくなった事例があります。
2004年8月28日にマーシャル諸島付近で発生。発達しながら西に進み、31日には中心付近の最大風速が45m/sと『非常に強い』台風となりました。
9月5日に沖縄本島を通過し、速いスピードで北上。
その後北海道で再発達し、暴風域が広がり温帯低気圧となりました。
気象庁の速報資料によると、最大瞬間風速の上位20地点の中に、北海道・雄武の51.5m/sや札幌の50.2m/sなど、北海道では記録的な暴風となりました。
北海道内での被害
負傷者:473名死者:9名
住宅被害:全壊30棟・半壊415棟・一部損壊11241棟・床上浸水88棟・床下浸水42棟
札幌市内では街路樹が暴風によって倒れる被害が続出し、北大構内のポプラ並木も多くが倒れたことから、この台風を別名『ポプラ台風』と呼んでいます。〈参考:北海道防災情報〉
台風20号と21号合体するとどうなるの?まとめ
台風同士が合体することはありませんが、今回の台風20号が温帯低気圧に変わった場合、温帯低気圧は前線を伴うことがあるので、広い範囲で大雨を降らせたり、暴風が発生する可能性もあります。
今回の台風21号は日本に上陸はしないものの、温帯低気圧の影響や、元々21号の強い勢力で大雨や暴風がとても心配です。